【DAZ 3D STUDIO】ライト基礎【影の設定】

前回の記事では、三点照明による基本的なライトの構成をやりましたので、今回は影の付け方を調べてみました。
 

 

前回の最後と同じライトを使って、もう少し影がわかりやすいものを作ってみました。
 

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影のわかりやすさをとったので、イミフな絵になってるのは気にしない方向で。
 
ふとここで、比較対象として、全てのライトに影ができない設定を入れた絵を作ってみました。
 

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ライトの影ができないからといって、明暗がでないわけではないのですが、なんというか、光源の角度とかか考えると違和感のある絵ですね。
ここまで極端でなくても、やはり影は絵を引き締めるのに重要な要素です。
 
というわけで、影の設定。
DAZ 3D STUDIO 4.6では、影に関する設定はあまり多くないです。
なお、これらの設定は影ができないライトである環境光にはありません。
 
■Shadow Type
 
影を作る方式を設定します。
 
Noneは影なし。
影に影響を与えず明るくしたい時に使うくらいですかね。上の影なし画像はこれで作っています。
環境光を使えばいいので、正直ほとんど出番はないです。
 
Raytraced(Software Only)、カタカナで書くとレイトレース。
視点からレイ(光線)を飛ばして、レイが物体に衝突したところで物体と光源の間に障害物がないか調べる事で、その視点(画像のピクセル)に何が映っているかを調べる手法、とのことです。下の記事に詳しく書かれていましたので、参考に。
 
 
実際に物を見る行為に原理的に近いので、精度の高い影ができますが、全てを計算して作成するので、レンダリングに時間がかかります。
 
最後にDeep Shadow Map。
光源と物体の関係を調べて、「影のように暗いテクスチャ(シャドウマップ)」を生成して貼り付けるやり方です。
こっちは(イメージ的な表現ですが)画像をはりつけるだけなので、高速な代わりに精度は低めです。
 
Shadow Typeの設定は影のでき方が根本的に違うので、設定を変えると絵が大きく変わります。
最初のサンプルは全てレイトレースで影を作っているので、参考に全てシャドウマップに変更してみました。
 

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精度が低い、とは言いましたが、実際のところシャープで陰影のくっきりした絵ができるので、作成したい絵によってはこちらの方が映えるかも。
通常、影は影を作っている物体から遠くなればなるほどぼやけてきますが、シャドウマップは物体と影の距離を考慮しないので、リアルさには欠けていますね。
現実的な絵=良い絵、ではないですが、リアル系のCGを作りたいときはほぼレイトレースでよいでしょう。
 
■Shadow Softness
 
影のエッジをソフトにする。いわゆるぼかしですね。
0にするとぼかし一切なしになるので、壁際でスポットライトを当てられたような影ができます。
ルパンでよく見るアレですかね。
シャープな絵を作りたい場合、小さい数字にするといいかも?
 
■Shadow Bias
 
この数値(距離)より近いポリゴンには影を落とさないようにする設定値です。
一見すると0でいいような気もしますが、0にするとえらいことになります
(ちなみに、DAZ 3D STUDIO 4.6だと最小値は0.01なので0にはできませんけれども)
物の表面には、顕微鏡レベルで見ると常に小さい凹凸がたくさんありますが、そんなものはテクスチャが表現していますので、いちいち陰影を演算する必要はないわけです。
むしろテクスチャによる表現と被ってえらいことになります。
 
が、大きすぎると肌に密着した衣服の影などができなくなります。
適切な値を探すのが大切なようですね。
 
というわけで、ぼかしを低く、バイアスを大きくしてみた絵を用意しました。
 

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とりあえず影がシャープになってますね。胸におちている右腕の影がくっきりしています。
バイアスの影響はこの絵の場合小さいですが、実は右上腕部に落ちていた下腕部の影がなくなっています。ちょっと大きすぎましたかね。
スカートが腿に落としていた影はどっちの影響なのか正直よくわかりません。
 
Shadow Biasについてですが、レイトレースで影を作っている場合、もう一つ影響があるようです。
バーチャファイター(初代)の時代と違って、現代のポリゴンは1ポリゴンが平面でない場合があります。
これを非平面ポリゴンというみたいですが、バイアスの値が小さすぎる場合、この非平面ポリゴンが「自分自身を」遮蔽物と認識してしまいます。
結果、自分に影を作ってしまいます。
顔などの凹凸が多い部品には非平面ポリゴンが多く使われているようで、前回の記事で作成した画像の顔に出ていた黒い斑点は、どうやらバイアスの値が小さすぎてできていたようです。
この現象が起こる場合、Shadow Biasの値を少し大きくするといいようです。
前回の絵をバイアス調整してみたところ、斑点はなくなりました。

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ライトの設定については最終的に慣れしかない、とのことでしたが、原理を知らなくては慣れようもないと思います。
というわけで調査してみた、ライト設定の内容でした。